STAM™モデルは、ヒトMASH/NASH-HCCと同様な病態進行を示すモデルです。本モデルは生後2日齢の雄性C57BL/6マウスにストレプトゾトシンを単回投与することでインスリン分泌能を低下させ、4週齢から高脂肪食を給餌し作製します。本モデルは、後期2型糖尿病の背景を有し、脂肪肝、NASH、線維化、そして肝癌へと病態が進行します。他のMASH/NASH-HCCモデルマウスと比べて、短期間で病態が進行すること、20週齢時で100%肝癌が発症することから、MASH/NASH研究に広く使用されております。これまでに、70件以上の論文(下図左側)、80件以上の国際学会(下図右側)でSTAM™モデルを使用した研究内容が公表されております。
STAM™モデルは、ヒトNASHの病態を多く再現しております。例えば、①ヒトNASHの特徴的である病理所見である風船様変性細胞、②線維化の進行に伴い脂肪滴が減少していくバーンドアウトNASH現象、③線維化の進展が中心静脈周囲から生じる、④肝障害マーカーであるALTの軽度な上昇、⑤CK-18といったNASHマーカーの増加、⑥ヒトHCCマーカーであるグルタミンシンターゼ、グリピカン-3、AFPの増加などが認められております。最近では、国内外のアカデミアから、ゲノミクス、トランスクリプトミクス(Dow、M.、et al)およびリピドミクス(Saito、K. et al)の包括的な分析によってSTAM™モデルの臨床的相関性が実証されております。
STAM™モデルを用いた薬効評価試験から、臨床ステージにあがった被験物質は15化合物あり、NASH治療薬の一翼を担っているモデルです。