論文・学会発表

2023.09.28

Study published in Biomed Pharmacother. on the effects of GRP119 agonist in the treatment of NASH in STAM™ mice

Dong-A ST Co., Ltd. (KOR)はGRP119 agonistであるDA-1241がNASHの治療効果を示すことをSTAM™マウスをはじめとするin vivoモデルを用いた研究で明らかにし、論文発表しました。

 

 

Title: GPR119 activation by DA-1241 alleviates hepatic and systemic inflammation in MASH mice through inhibition of NFκB signaling

(Lee SH et al., Biomed Pharmacother., 2023)   Article Link ► [Read Article]

 

NASH病態が進行したSTAM™マウス (8-12週齢)に、GRP119 agonistであるDA-1241を投与したグループでは、

Vehicleを投与したグループと比較して、①NAFLD activity scoreが顕著に低値を示し、②肝臓の線維化面積が減少傾向を示しました。

 

GPR119(G-protein coupled receptor 119)は消化管や肝臓、膵臓に発現しており、細胞内のcAMP濃度を上昇させることでGLP-1の分泌やグルコース応答性のインスリン分泌を促進します。GPR119に対するアゴニストは次世代の抗糖尿病薬として、そしてNASH薬としてこれまでに多くの製薬企業で研究開発が進められてきましたが、NASH薬としての開発はいまだ果たせていません。

これまでに、DA-1241は高血糖状態や脂質異常症を改善することを非臨床試験で明らかになっており、それら代謝異常を併発することの多いNASHにも治療効果を発揮することが期待されています。さらに、本論文では、DA-1241がGPR119依存的に肝細胞やマクロファージのNF-κBの転写を阻害することで抗炎症作用を示すことも明らかになり、NASHに対してマルチに治療効果を発揮することが示唆されました。

 

本化合物のように、代謝異常や炎症を抑制するなどの多機能的な薬理作用は、それら複数の病態背景をもつNASHに対する治療戦略として非常に重要であるといえます。

 

GPRが関与した代謝疾患に着目している研究プロジェクトや、炎症・線維化・代謝異常などに作用する化合物をお持ちの方は、STAM™マウスを用いたin vivo試験を検討してみてはいかがでしょうか。

ご関心やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。